10/04/2026
【新刊のお知らせ / our new book】
代々この土地で生きてきた職人の身体の中には、輪島塗の精神が、それを体現する形が、DNAのように刻み込まれている。ぼくは、同時代を生きる職人さんたちと協働するだけではなく、彼らの祖先であるいまは亡き数多の工人たちとも、ともに仕事をしている。ゆえに一人の職人が失われることによって、もうつくることができないものが、ひとつまたひとつと増えていく。そうだからこそ、ひとりひとりの職人はかけがえのない存在となるのだ。そのことに気づいたとき、ぼくは自分の仕事の中心をここに据えた。つまり、自分のつくり出すうつわは、もっとも保守的で、本質的で、その起源に迫るものでありたいということだ。同時に、それは古くも野暮ったくもなく、この時代の中でもっとも洗練されたものでなければならない。でなければ、未来へとはつながらないからだ。そういう連続性をともなったものを、ぼくは「工藝的」と呼んでいる。そういう意味で、うつわも、料理も、住居も、街並みも、景観も、ほんらいは工藝的であるべきだろう。それが人間の暮らしを支えるのだから。そしてこの能登の復興こそ、いまも面影を残している過去とのつながりを生かし切った「工藝的復興」でなければならないと考えている。そのことを教えてくれたのは、まさに「工藝的」であった伝統工藝輪島塗の職人世界そのものであった。
ーー赤木明登(新刊『輪島 小さか木地屋の物語』より)
写真:雨宮秀也
2024年の元日、能登を襲った大地震は、木地師・池下満雄さんの工房も容赦なく倒壊させました。
赤木明登さんは、自らの工房や仕事場の復旧を後回しにして、真っ先に池下さんの仕事場の再建に動きました。
約20年にわたり、池下さんは赤木さんのために木地を挽き続けできました。
赤木さんは、輪島塗にとって本質的で美しい形が、池下さんの身体に深く刻み込まれていることを、誰よりもよく知っていました。
それは、いまの輪島ですでに失われつつあるものでもありました。
だからこそ、その仕事場をなんとか遺そうとしたのです。
新刊『輪島 小さな木地屋の物語』は、池下満雄さんの仕事と、その仕事場の再生をめぐる歩みを通して、
輪島塗の世界、その背景にある職人たちの身体感覚、そして復旧の現場に宿る希望を描き出しています。
『輪島 小さな木地屋の物語』
赤木明登 著
小さな木地屋さん再生プロジェクト 編
5月17日発行
定価:4,500円+税
写真:雨宮秀也、長瀬光恵
挿絵:堀道広
編集:張逸雯(拙考)
デザイン:山口信博+玉井一平(山口デザイン事務所)
校正:田邉裕賀(泰文館)
DTP・印刷:株式会社山越
発行:拙考
ただいま先行予約受付中、
詳細はプロフィールのリンクへ。
https://www.sekkousm.com/輪島-小さな木地屋の物語
予約期間中にご購入いただいた方には、送料無料にてお届けいたします。
また、先着200名様まで、著者・赤木明登さんのサイン入り本をお送りいたします。
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