25/07/2026
灼ける石畳を踏みしめ、残された者は棺の前に立つ。あるべき順序が逆しまになった日、言葉は役目を失い、掌を合わせるという古来の所作だけが、この世とあの世を結ぶ。出会いあるものは必ず別れ、形あるものは必ず滅する。真理は、悲しみを消さない。教えは心を照らしても、失われた温もりには届かない。見送る者は喪失を抱き、生きる。見送られた者は、苦しみも時も離れ、静かな彼方へ歩みゆく。此岸と彼岸。その両岸を照らす光は、ひとつ。誰も声にはしない。胸の奥では、それぞれが同じ願いを手向けている。その祈りは風となり、香となり、目には映らぬ蓮華となって、静かに彼の歩む道を照らし続ける。
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